秘密にしないスキャンダル
「ハルト君、ユウナちゃん！
あ、堀原さんもいるじゃん」

スタジオに入り周囲の人に挨拶していると遠くの方から手を振って呼んでいる拓也の姿が見えた。

「拓也さん、おはようございます！
今日もよろしくお願いします」

「お願いします」

拓也の傍まで三人で行きキョロキョロと周りを見回していると後ろからぽんっと頭に大きな手を乗せられ、ん？と上を見てみるとそこには勇人がいた。

「お……越名さん、おはようございます」

思わず“お父さん”と言いかけてしまったのを誤魔化すように照れ笑いすると、勇人は僅かに微笑んだ。
それから暫くの間五人で談笑しているとどこからか視線を感じ、振り返るとそこには鋭い眼差しでこちらを睨んでいる女性がいた。

「うわー、すごい熱視線だね。
あの子誰かな？」

「今日のゲストＭＣですよ。
ハルトとユウナは彼女……草野美佐のことは覚えてるな？」

「忘れたいくらいだよ。
隆矢にベタベタくっついて鬱陶しかったんだよね」

「え？
てことは、ユウナちゃんの恋のライバル？」

拓也が勇菜と美佐を何度か見ながらそう言うと勇人が眉を寄せた。
今もまだこっちを……勇菜を強い眼差しで睨んでいる美佐を勇菜は無言で見つめ返した。
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