Spring -盗撮-
「・・・・・・・・・・・。」
相変わらず右手にはスマホ。
しかし、もうこれは眼中に無い。
左手で持つカバン。
・・・・不自然に角度を変えたり揺らしている様子は無い・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・。」
くっ・・・!!
重力に逆らい、斜め上に運ばれていく体が間もなく再び平地に降り立とうとする。
普段何とも思った事は無いが、
今だけはあっという間に感じてしまう。
「・・・・何てザマだ・・・・。」
遠くなっていく村上の後ろ姿を見つめながら、今回も手掛かりすら掴めなかった自分に苛立つ。