あなたが私を忘れても、私はずっとあなたを忘れない

一階にあるおばあちゃんの部屋は、まるで泥棒が入ったかのようにぐちゃぐちゃに荒らされていた。

おばあちゃんは、タンスの中にある洋服を全部出し、「ない！ない！私の財布がない！」と言っている。

お兄ちゃんは、部屋に置いてあった花瓶の片付けをしていた。興奮している時に、おばあちゃんを止めようとしても逆効果だ。

「おばあちゃん、財布がないの？一緒に探そう」

私がそうおばあちゃんに声をかけた刹那、私の手が思い切り叩かれる。

驚いて、私は何も言えない。おばあちゃんは怖い顔で私を睨んでいる。

「お前が盗ったんだろ！！」

おばあちゃんは、私を指差してそう言った。

目の前が、真っ暗になっていくーーー。

私はその場に崩れ落ち、そのまま気を失ってしまった。



それから三日後、おばあちゃんは一週間ショートステイ（施設に短期間入所すること）でいない。

やはり、介護の仕事をしていても、介護が好きでも、きちんと休まなければならない。