Love Eater
「早三週間ってとこだねぇ」
「ん〜?何がっすか?白夜さま」
「蓮華くんの意地悪にまんまとリっ君がハマって不能になったのが」
「意地悪だなんて人聞きの悪い。古今東西恋愛に試練は付き物でしょうに。寧ろ俺は皆んなが嫌がる悪役を喜んで引き受けてやってるんだ。褒められはしても非難される覚えはないよ」
白夜の研究室の一角。
つい少し前までソルトが通いつめていた席に今は蓮華が身を置き煙草を蒸す様になっていて。
相変わらずゴツゴツとしたアクセサリーを体に散らばせて、ヤル気のない垂れ目でニタリと絡みつくような愛想を見せてくる。
蓮華は相変わらず。
自分の悪意に悪びれるどころか、他者には出来ぬ偉業を為したかのような口ぶりで嘲てくる始末なのだ。
こんな蓮華を目の当たりにしてしまえば、ソルトの根が真面目な不真面目の可愛らしかった事と百夜が思うのも無理はない。
どう見ても不謹慎で非常識な蓮華の態度には無関係の第三者でも苛立ちの一つを覚えてしまいそうなものなのに。
まあ、それこそそこは百夜さまなのだ。
可愛いとは思えずとも蓮華の性質も嫌いではない。
むき出しに見せつけられた性格のゆがみもツラリと一笑しただけで非難の感情などなく、ただ己の好みの紫煙を揺らすばかり。