Love Eater
そんな六花の姿にどうした?と、更に表情を確かめんと顔を寄せるソルトがいて。
覗き込まれた事でますます追い込まれた様な六花が小さな肩がビクッと跳ねさせて数秒。
六花が言葉より早くおずおずと示してきたのはスカートの裾。
「ああ、零してたのか。」
「っ…すまないぃぃ。買ってもらったばっかりだったのに」
「んあっ?いーっていーって、それに黒だから言われなきゃそうわかんねぇじゃん。大丈夫大丈夫。ガキなら服を汚してなんぼって、」
「なあ……」
「ん~?…って、」
「なんか目から液体が流れ出して止まらないんだけど」
「はぁっ!?なんでお前泣いてんの?!」
「泣いてる?泣くってこういう事か!?お前僕を泣かせたのか!?」
「人聞き悪い事叫んでんじゃねえよっ。泣かせてねえわっ」
なんつーことを大声で言ってくれるんだと、咄嗟に回りに『違いますから』と笑顔で誤魔化した事は言うまでもない。
どんなに大人びた中身でも六花の見た目は小さな子供。
傍から見ればソルトが小さな子供を苛めて泣かせたように見られても可笑しくない。
そんな誤解は御免だと、適当に周囲に気を配ってからやれやれと六花に意識を戻せば。
アイスを食べることも忘れた姿は未だにスカートの裾を持って大きな目で見つめているのだ。