Love Eater
「…っぶね!図星だからって全力で股間狙うんじゃねえよ!ガキッ!」
「どっちがガキだ最低男がっ!お前なんてもう大っ嫌いなんだよ!」
「ハンッ、俺みたいなイイ男そう簡単に嫌いになれるかってのっ!」
「だからウゼエよっ!自惚れんな!心底嫌いだ!益々嫌いだ!!」
「ああ、そうかよっ」
「そうだよ!もうお前なんか大っ嫌いなんだよっ!!」
「じゃあ、何でお前は本気で逃げようとしてないのかねぇっ?!」
「してるだろ!?今まさにっ!!」
「ハッ、コレが本気とか笑わせんなっ!だったら何で魔女らしく逃げださねぇ!?」
「なっ…」
「俺は蓮華みたいなチカラは持ってねえぞ。ロザリオすら持ってねえ只の馬鹿力だ!」
「っ…」
「お前なら簡単にパッと逃げ出すなんて容易い事だろ!?それなのにまだこうして俺に捕まってんのは何でだ!?」
確かに、身体を傷だらけにしながら必死に逃げようとしている。
それでも、そんな傷を負う事なく逃げ出せる筈の魔女の能力。
それを使わずして本気だなんてとても言えないし感じられない。
それは指摘された六花さえ驚き、省みた自分の本心である。
どんなに腹を立て、諦め、見切ろうにも、こうして意に反する心があるのだと。