Love Eater



そんな刹那に唇を重ねたまま弾かれる、

「ちょっと………黙れ、」

余裕が薄れたようなソルトの牽制には、ようやく思考がままなりされている事にも理解が追いついたのだが。

「っ…ソル…んんっ_」

再び重なってきた唇はみっちりと隙間なく。

それどころか驚愕に開いた唇を更に割って、今まで経験した事のない感触や熱が口内を荒らす事には流石の六花ももがきながら同様を露わにするのだが。

そこは体格さも力も歴然なる男の拘束。

只でさえ体重をかけて跨られている拘束状態。

両手首まできっちりと地面に縫い付けられて、せめてもと顔を背けて息苦しさから逃れようとしてみるのに。

結果、手首の拘束からは解放されるも、逃げるなと言わんばかりに顎を掴まれ頭なんかは抱きこまれる。

自由を得たところで華奢な両手にソルトの身体を退かす様な力もなく。

それどころか、儘ならぬ呼吸からの酸欠と言い様のない発熱に浮かされどんどんと抵抗の力が抜けてしまったのだ。

どれだけセクハラ紛いな言葉でソルトを煽ろうがこうして行動されてしまえばその経験値に勝てる筈もなく。

まあ、手練れのソルトからすればまだまだ味見程度のライトな感覚でいた口付けであって。

まさか六花がこの程度の口づけで目を回しているなんて微塵も頭にある筈もなく。

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