Love Eater
全てが未知の体験で、不安さえ覚えるソルトからの甘ったるい抱擁。
確かに欲しかった筈のソルトの姿。
それは六花の理想のまま、いや、理想以上だと確かに言える。
不安なのはソルトに対してではなく、ままならない自分に対してなのだ。
ソルトの愛情表現の熟成さに、思ってた以上に対応出来ない自分に対して困惑してしまって思考がままならない。
こんな事だと思ってなかった。
こんなに熱くて目が回って思考能力さえ保てない様な…こんな。
あまりに未成熟な認識であった六花には、ソルトの大人な熱情は許容越え。
中身から溶解しそうな自分の発熱には、ソルトに一服盛られたのではないか?なんて疑いまで浮上する始末。
そんな矢先にスッと寄せられる顔の距離。
それには思わず、
「っ……ひゃぁんっ!!」
ソルトの横っ面を張ってしまった六花であったのだ。
それには当然、構えも無ければ予想すらしていなかったソルトだ。
バチーンッ!と実にいい音の被害者が自分であると気がついたのでさえ数秒程呆けて頬がジンジンと痛み始めた頃合いだ。
かと言って、意識が追いつこうが何故殴られたかまでは理解が及ばず、呆気にとられた眼差しで捉えた六花と言えば。
あっ…可愛い。
なんて、瞬時に惚気たソルトの思考は置いておいて。