Love Eater
これでもかと紅潮した顔で作り上げた表情は威嚇のつもりであるのか。
多分本人は至って本気の精一杯な威嚇をしているつもりである筈。
それでも、大きな双眸はウルウルと光を反射させるし、只でさえ小柄な体を更にこじんまりと縮めてふるふると震えているのだ。
形ばかり、威嚇を示しているのはかろうじて上がっている眉尻とキュッと噛み締めて作ったへの字口と。
そんな状態で今更自分の体を隠す様に抱きしめながら、
「お、お前…っ…僕に何したんだ!!」
なんて、半泣きの声で言われた日には。
少なくとも六花馬鹿であるソルトは見事撃沈。
思わず「ヤらせろ」と煩い股間をキュッと握って制してしまう程に性癖に刺さってしまったのである。
本能が、
可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い。
ヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろ。
と、喚く中。
それでも何とか極小の理性を拾い上げて自分にセットすると。
「えっ……とぉ。……えっ?な、なに?」
「僕に何したって聞いたんだよっ!」
「何って…え…えー…ええっ?」
何といわれる程の何かは特に。
ソルトからすれば今にも事に及びたがる本能を制して、欲求を実にライトな愛情表現に収めていたつもりだ。
だから、こんな風に何かを問い詰められても『何もしていない』としか答えが出ない。