Love Eater
そんなお互いに葛藤悶々であった沈黙を破ったのは、
「じゃ…じゃあ……」
「うん?」
「ほ、本当に……キス……だけ?」
「お、おう……」
一体どんな確認で、どんな反応の仕方なのか。
実際キスだけと言うには濃厚すぎるそれであったとは言えるのだが。
他のキスを知らない六花からすれば比べようもなく、知る由もない。
つまり、キス=先程のソルトのキスが普通のものとして認識されるという事で。
そんな結論が打ち出されてしまった刹那。
漫符で表現するなら【ボフンッ】が適切か。
ただでさえ真っ赤であった顔を更に染め上げて、とうとう眉尻を下げた六花が唇を押さえながらソルトを見つめているのだ。
そんな姿にどギュンとソルトが撃ち抜かれて理性が致命傷となったのは言うまでもなく。
それでもだ、
「あ……ひぁ……」
「っ……えっと……六花?」
流石に沸騰しそうな程紅潮して過剰に怯んでいるような六花の反応にはソルトも大丈夫か?と手を伸ばし、更には様子を伺って顔を覗き込んだのだが。
まさに今の六花にとってはそれが一番の刺激スイッチだったらしく、
「っ……なぁぁぁぁっ!!!」
「ぶっ……」
平手打ち2回目。
数多の女性とアバンチュールの経験があるソルトであっても、こんな短時間に二回も横っ面を張られた記憶はないというのに。