Love Eater
ソルトの背後から伸びる手が頭から背中を洗うまでは良かったのだが、スルリと前にまで伸び胸元から腹部を泡立て始めた頃には迫りくる危険に気が付き抵抗に走ってしまった。
うっかりだ。
うっかりしていた。
洗うって……洗うって……
「ちゃんと隅々まで洗わなきゃ駄目なんだよ?」
『そんな際どいとこまできっちり洗わんでもいいわっ!!仮に見た目犬だとしてもだ、よく躊躇いもなく洗おうと出来るなお前っ!!………って……あ………見……』
六花の手から逃れんと咄嗟に暴れてしまった際、あれだけしっかり閉じていた目蓋は無意識にもぱっちりと開いてしまっていて。
ソルトの双眸には煌々とした明かりの下、六花のしなやかで無防備な裸体がはっきりきっちり映り込んでしまった。
それだけでも充分な攻撃力であったのに。
「隙ありっ!!」
『っ____!!!』
もう、声すら出ぬ大絶叫とはまさに。
目の前に広がる視界の極楽にうっかり釘付けに呆けていれば、押さえ込むチャンスだとばかりに六花が飛びかかって跨ってきたのだ。
何の構えもしていなかったソルトが勢いのまま仰向けに倒れるのは必然で、腰回りには跨る六花の重みと感触が鮮明。
閉じることを忘れきった双眸には、お湯に火照り濡れた六花が雫を滴らせながらソルトを見下ろしているなんて図。