Love Eater
「毎度のことながら…凄え不毛」

「大丈夫。そんな物撃ち込まれなくてももうとっくにソルトからの愛の矢がこの胸に撃ち込まれてる」

「撃った覚えねえよ」

「つれないなぁ。なんだかんだ言ってこうして逢いに来てくれるくせに」

「いや、まじさ、一回医者行ってその都合の良すぎる解釈する頭診てもらってこいよ。そりゃあ綺麗な花畑が広がってるだろうよ」

「塩対応かと思ったら綺麗とか…ツンデレ?」

もう付き合いきれるか。

そんな言葉の代わりに響く銃声と、眉一つ動かさずにかわす少女と。

今度は動きを大にひょいっと飛び上がると、ふわり風に舞うが如くフェンスを越えて男の前に降り立ったのである。

そうして臆することなく華奢な指先で男の白金の髪に手櫛を通しながら、

「ねえ、いい加減弾が勿体無いとか思わないの?絶対に僕には当たらないよ?結構高いんでしょ?コレ」

「ああ、ああ、高いねぇ。分かってるなら素直に当たってくれないかな魔女子さんよ」

「嫌だよ。当たったら魔女じゃなくなっちゃうでしょ?」

真っ平ごめんだと指先で銃口を弾く少女には、もう悪態もつきた。と、重苦しい溜め息くらいしか吐くものがない。


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