Love Eater
正直、銃口を向け続けている事さえ無意味。
それを分かっていても向け続ける事でギリギリ自分の本分は保たれる。
自分の生業に誠実である為にはこの銃口は彼女に向け続けなくてはいけないのだ。
そんな男の生真面目さを水色の双眸は見透かしていて。
向かい合う敵意を継続させた鋭い緑の眼光には、ハアッと溜め息を漏らす程呆れる反面可愛いと惚れ惚れもしているのだ。
「ソルトってクソ真面目。そんなに僕を狩りたい?」
「それが【神父】の仕事だからな。でも、【狩り】まではしたくねえからこその救済措置のコレだろ。誰かさんがあがくせいで無駄撃ちに終わるけど」
「【神父】だとか…、響きばっか大仰な単なる役職じゃない。ソルトだってどう見ても神を冒涜しまくった感じに修道着は着崩れてるわ、煙草の臭いはプンプンだわ、完全寝起きを彷彿とさせる寝癖に……無精髭」
「寝てたんだよっ、まさにっ!汚物を見る様な目で見るなっ」
「プラチナブロンドの柔らかいストレート毛に透き通る様な緑の目。シャープな顎のラインに切れ長の目元。……王子様要素をそれだけ無駄に出来るのもある意味才能だよね」
「普段は鬚くらい剃ってるわっ!誰のせいで深夜にこんなとこにいると思ってやがるっ!?無駄に騒ぎを起こしやがってっ!」
「騒ぎだなんて人聞き悪いなぁ」
「騒ぎだろっ!ぐっすり寝てたとこノック音に叩き起こされただけでも不愉快だってのに、扉開いてみりゃあ半裸の女がピーピー泣いて『俺は男だっ!!』なんて縋って来たんだぞっ!?」
「ああ、泣いてたんだ。ざまあ、」
「撃ちこむぞ?」
やっぱりてめえじゃねえか!と、咎めるように少女の眉間に銃口を着けるも引き金を引くまではせず。
撃たれないと分かっているそれに少女の方も敢えて避ける様な動きをする筈もない。