Love Eater
「素直じゃないんだね。君も…」
『悪かったな。どーせひねくれ者だ』
「本当は僕の事が好きな癖に」
『お前は獣相手にまでそういう都合の良い自己陶酔するのな』
「あんまり素直じゃないとさ……呪っちゃうよ?」
『っ……!!』
流石にこの一言にはビクッと身震いし顔を上げてしまったソルトがいて。
ただでさえ呪いに悶え苦しんでいるというのに、これ以上の上乗せは御免だと六花に警戒の体勢をとったのに。
視界に映り込んだ姿には張りつめた糸などすぐさま緩む。
呪うなんて言葉は口にしたがその姿は座った位置から動くことなく、どこか哀愁を漂わせた口元に小さく弧を描いているのだ。
寂し気に。
そして済んだ水色の双眸は目の前の狼ではなく別の姿を思い浮かべて小さく息を吐いてみせる。
「……ソルトも…今頃苦しんでるかな。…あの呪いに」
『……絶賛目の前で悶えてるわ』
「フフッ、そうだよ。僕は魔女だからね。魔女らしく好きな人に呪いをかけてみたんだ。あんまりにもソルトが素直じゃないからさ」
『好きだから呪うとか意味わからんし』
「でも、もし本当に僕に微塵も気持ちがないなら発動しない呪い」
『っ……!?』
「逆に気持ちがあるなら……その想いが強ければ強い程きつく体を蝕む呪い」
『はっ!?』
「僕がどれだけソルトへの想いや熱に蝕まれているか思い知ってもらう呪い」
『なっ……どういう……』
「あんな意地悪な乙女心知らず……、僕の欲求不満やもどかしさに侵され尽くして苦しんじゃえばいいんだ」
『っ___!!!?』
ソルトにとっては好都合。
思ってもみない形で己にかかった呪いの話題になるも、淡々と打ち明かされる呪いの詳細は自分が思っていたものとは異なっている。