Love Eater
てっきり自分を蝕む渇望や欲求不満は呪いの媚薬効果からくる自分自身の滾りだと思っていたのに。
今の六花の口ぶりではソルト自身から沸き立つそれではなく、六花が常々抱き持て余している欲求を体感させられているという様な内容。
良く頭の整理がつかぬままに、
「……僕の事……好きな癖に」
『っ……』
「会う度にソルトが僕に向けるのは真面目な敵意と銃口と意地悪だけ。そのくせ目の奥では僕への好意をチラつかせるくせに」
『………』
「分かってるよ。それがソルトの仕事で、だから僕は魔女であり続けてるんだ」
『………』
「ソルトの素直じゃない意地悪も嫌いじゃないけどさ……。でも、僕だって魔女の前に女の子なんだよ。好きな人には優しくもされたいし……甘やかされたい」
『っ……』
「そんな単純な乙女心も分からないソルトには……きっとこの呪いはとけないね。……物凄く簡単で何てことない事だけど…ソルトはきっと…してくれないから」
ポツリポツリそんな言葉を零す六花の表情は口元は弧を描くのに伝わる感情は哀愁。
いくら鈍かろうが、乙女心なんて物をついぞ理解したがらぬソルトでも分かる。
この六花が寂しいと訴えていることぐらい。
それから目を逸らして意地っ張りにも距離を置く程無神経な分からず屋ではないのだ。