Love Eater
『俺の症状をどうにかしてくれるんじゃなかったのかよ?』
無防備な肌に布団をかけてやりながらそんな悪態をつくも、顔には困ったような苦笑しか浮かばない。
呪いの詳細を知ったからと言って症状が軽くなるわけでもない。
火照りは続くし、六花の甘い匂いもあって欲求も強まるし。
それでも、どうしてか煩わしいと一概に思えなくなったのは六花の話を聞いたからだろうか。
蝕むこれらが六花からの恋情だというのなら苦痛な程変な歓喜が滲み始める始末。
俺も相当キてるわ。
興奮しすぎて頭が馬鹿になってるとしか思えねえ。
全部お前のせいだよクソガキ。
でも……
『悪かったな……無神経で女心知らずの意地悪で、』
こんな風に寂しいと思っていたなんて知らなかった。
いつだって悪態をついても拒絶の言葉を吐いても、飄々と受け流してしつこく絡む六花であったからその心中まで汲み取れなかった。
好きな人に悪態をつかれて嬉しい筈がない。
敵視され拒絶されて本気で何も気にしない筈がない。
勿論、仕事柄仕方のない関係とはいえ、人情としては別の話。
優しくされたい、甘やかされたい。
まだまだ幼く無垢な恋心抱く少女の当然の欲求。
それを大人の理屈と物言いで跳ね付けてしまっていたのだと今更ながらに気が付いてしまえば、この呪いも妥当のものなのだろうと思ってしまう。