Love Eater
いざ帰ろうと扉に向かい始めた刹那には自分の非常事態に気が付き硬直したのだ。
そうしてソルトの頭に浮かぶのは、裏路地に置いてきた自分の衣服一式。
結論……。
やっべ……俺、どうやって外でりゃいいんだ?
服もなきゃ電話も金もねえし。
何て言う悲しき現実。
六花の部屋に当然男物の服なんかある筈もなく、かろうじて強奪されたパンツで下着の確保は出来たものの他がない。
散々悩みに悩んだあげく、苦肉の策として六花のベッドのシーツを拝借しそれを巻きつけ逃亡したのだが、そんな危なげな格好で大っぴらに出歩くなんて事までは出来る筈もなく。
『はいはーい?リっ君?こんな早朝からラブコールとかめずら…』
「百夜【様】!!助けてっ!!」
公衆電話を見つけ六花の部屋から拝借した小銭でなんとか百夜に泣きつき迎えに来てもらったのだ。
迎えに行った百夜が目にしたのはパンイチの裸に赤い首輪とシーツを巻きつけた残念なソルトの姿。
その後しばらく百夜の笑い話の種にされた事は言うまでもない。