Love Eater
「おう、なんか探し物か?」
「……わおっ、鋼鉄製の傘でも急いで作った方がいい?」
「槍が降るとでも言いたげだなぁコノヤロウ」
「いや、だって珍しいんだもん。ダーリンが銃口も向けずに話しかけてくるの」
「フンッ、非番なだけだ」
あの騒ぎから数日の久しぶりの二人の逢瀬の瞬間。
とは言っても、六花の悪戯に神父として呼び出されてのそれではない。
六花からすればソルトに会うような目的の外出ではなく、こうして出会うのは偶然のもの。
少なくとも六花からすればだが。
ソルトからすればなんとなく六花がこの場所に来ていそうだと予測あっての事で。
まさに、日が当たりにくい裏路地で何かを探して歩きまわる六花を見つけて声をかけたのだ。
普段の六花であるならこんな偶然の再開に『赤い糸の運命だ!』くらいのテンションを見せそうなものであるのに、ソルトとあいさつ程度の会話を終えるとすぐにその意識は逸れてしまった。
そのまま、別れも口にせずふらりと立ち去りそうな姿にはソルトの方が追いかけるようについて歩き。
「今日の魔女子さんはつれないねえ」
「うん、今はソルトと遊んでる気分じゃないんだ」
おい、地味に傷つくぞコンチクショウ。
さらりと振り返りもせずに弾かれる六花の一言には、普段の鬱陶しさに慣れていたのもあってパンチがデカい。