Love Eater
それでも、いなくなった狼の自分を思ってしょぼくれている六花の姿には『帰ってこないだろ』とは言えず。
不意に行動したのは、
「っ……」
「ま……期待せずに待ってるしかねえだろ」
六花の頭を撫でるという行為。
決してやさしいと言える撫で方じゃない。
不器用にワシャワシャと撫でくったような雑な物。
それでも、六花は信じられないと言いたげに目を丸くし、撫でられた感触を確かめるように頭に触れるのだ。
そうして、そんな澄んで期待に満ちた様な水色の双眸に見つめられる事にはソルトの方が居た堪れなくなり。
「んじゃ……まあ……うん」
と、実に下手くそな反応を示しながら背を向け逃げるように歩きだしたのだ。
そんなソルトをスイッチの入った六花が逃がすはずもなく、実な恍惚な目で舌舐めずりをするとどこからともなく箒を取り出し颯爽とソルトの後を追ったのだ。
「ダッアリーン、待ってぇ、もう一回撫で撫でしてえ?」
「ついてくんな、甘えんな!非番放棄して撃ち込むぞ?」
「そんな物騒なもの撃ち込むくらいなら僕の純潔なボディにソルトのマグナ…」
黙れとばかり。
変態発言に制限をかけるようにソルトの銃声が響いたのは必然。
当然、それを交わしてクスクスと笑う六花の姿も。
その手には当然……
「っ……ああっ!!てめえ!!また俺のパンツ!!」
「今日は魅惑の紫ボクサー…うん、良き」
「優しくすりゃあつけ上がりやがって!ど変態女!!」
「あ、じゃあ代わりに僕のパンツまた要る?脱ごうか?」
「っ……いるかボケェッ!!!!」
この二人の関係性相も変わらずの平行線。
……より、少々複雑に交差中?
憐れなる迷える狼に幸あれ。