Love Eater
「クックッ…14回目3本目」
「……あっ?」
「リッくんの溜め息と煙草の数だよ。君がここに来てまだ1時間も経ってないってのに、早死にしたいのか余程の欲求不満か…」
後者が結論の突っ込みなくせして白々しい。
そうは思えどソルト自身無意識であったそれらの数の提示には驚愕と更なる苛立ちと。
しかもこれまさに、このタイミングにもうっかり『はあっ』なんて盛大な溜め息をついたくらいにして。
当然、
「ククッ、色男の悩ましき憂鬱と言うより発情期の苦悩ってところかな?」
「煩えよ。悪かったな良い歳して拗らせてて」
「本当にねぇ。あれだけ幾人もの女性とスマートにアバンチュール出来るリッくんが、まさか年端もいかぬ女の子に振り回されての恋煩いとか……ブッ、あははは」
「でったよ!まぁたそうやって人の悲劇を笑いやがって!」
「いやぁ、もうパンイチシーツの赤い首輪姿が目蓋の裏にはっきりくっきり焼き付いててねえ。つい頻繁に思い出しては僕のキャラ崩壊に笑っちゃってるんですよ。どうしてくれるんですか?慰謝料請求しましょうか?」
「どんな言い掛かりだよっ!?寧ろそのネタでここぞとばかり揺すられていいようにされてる被害者は俺だろ!?」
「揺するなんてそれこそ人聞きが悪いねえ六花くん。これは真っ当なる僕の職務の一環ですよ?それにリッくんだってコレをきっかけ更に人間離れするような事態は避けたいでしょう?」
「っ……」
「うっかりまた狼化して愛しの彼女に見つかったらそれこそ欲求を持て余す事すら幸せな快楽だったんだと思い知る様な事になっちゃうんじゃなかった?」
白夜がそんな一言とチョキチョキとハサミのジェスチャーをする事には、ソルトは思わず股間を押さえてしまうのだ。