Love Eater



一瞬にして鎮静化したソルトの姿を白夜がクスクスと楽しむのは最早日課。

ここ数日ソルトと言えば白夜の研究室で半日を過ごす事が殆どで。

その理由は言わずもがな、先日の本能全開に狼化してしまった一件の所為だ。

今までであっても要注意対象であったソルトの身分。

その力が未知数故に現状維持を本人も心がけていたし、何より政府からも厳重に注意制御せよと言われているのだ。

それが、事情はどうあれ人型から獣へとその身を変えてしまったのだからして。

本来であるなら即禁固状態であってもおかしくないところ、幸いこの事実を知るのはソルト本人と白夜のみ。

自由がなくなるのが分かっていてわざわざ上に報告する筈もない。

それでも、これをきっかけにこの前の様に変化してしまう事が増えてしまうかもしれない。

それを制御するためにも百夜の協力は不可欠で、こうして毎日百夜の研究室で己が体の解明に尽力しているのだ。

「あー…もう本当に面倒くせぇ」

「ん?フフッ?何が?」

「自分の不自由な人生が」

「……フッ」

「なんだよ?小馬鹿にしくさった笑い方しやがって」

「いやあ、若いなあって思ってさ」

「出たよ。年上目線の物言い」

「年上だからねえ。こんな姿だけども」

そう言えばそうだった。なんて、改めては思わない。

百夜が見た目に反して大人である事は醸し出す空気が自然と意識させてくれる。

寧ろ子供の見た目である方が不自然で違和感を覚える程に。

それでも今までわざわざその違和感を深く切り込むような事はしたことが無く、今もふと沸いた疑問にどうしようかと言いあぐねていたけれど。

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