Love Eater
「……なあ、」
「呪いだよ」
「………まだなんも言ってねえのに、」
「いや、今まで流暢に話していたリっ君が躊躇いがちに口を開いた時点で分かるでしょ。話の流れ的にもさ」
「まあ、確かに。…って、呪いとか言ったか?」
「言ったねえ」
「てっきり百夜の魔混じりが理由かと思ってたけど」
「だったらわざわざ不自由なこのナリでいないさ。外で煙管は蒸かしにくいし、女の子を誘うにも可愛すぎるだろ?」
「わりぃ。中身の性悪ジジイの印象が強すぎて可愛いなんて印象微塵も感じられねえ」
「まあ、中身はこんな姿より何十倍も色気たっぷりのセクシー男子だからね」
「ジジイの癖に」
「大人の色気を馬鹿にしちゃならんよ六花くん」
「ああ、もう自画自賛は腹いっぱいでごちそーさんだ。で?呪いって…やっぱり魔女か?」
いくら罵ろうが妖しさ漂う笑みでさらりと流すのが百夜のスタイル。
そんな相手に一人だけ熱を高めて言い返すことほど無意味な事はない。
だから、さっさと本題に戻ろうと脱線した話の軌道を雑に修正していけば。
ツラリと口元の弧を強めた姿はゆったりとした所作で煙管を取り出し、甘い香りと紫煙を漂わせながら一服。
吸って吐いて。
そんな動作がまるで仕舞い込んでいた記憶の引き出しを開けるような間にも感じる中。