Love Eater
フーッと吐き出された紫煙がゆらりと空気に溶けた刹那。
「魔女だね」
「やっぱりか。でも、だとしたらかなり強力な呪いって事だよな?俺が知る限りお前と出会ったころにはもうその姿だったよな?その間ずっと呪われたままって事だろ?」
「そういう事になるねえ。まあ僕もいつから呪われてこの姿なのか記憶も曖昧なんだけどね」
「はっ?覚えてねえの?」
「さーっぱり。何で呪われて誰に呪われたのかも」
「はあっ!?」
「分かってるのは多分相当イイ女って事か」
「へっ!?」
「僕が呪いなんて物を甘んじて受けるくらいだからね。相当惚れ込んでいた相手からの呪いだって事までは推測してるんだけど」
「推測って、そこも曖昧なのかよ?」
「それも含めの呪いの効果なんだろうね。彼女は僕の姿を変えただけじゃなく彼女に関する僕の記憶までごっそり隠し持っていってしまったらしいから」
「解き方はねえのかよ?」
「あるのかもしれないけれど…どうだかねえ。それこそ彼女のみぞ知るってとこじゃない」
そんな楽観的な。
とは思えど、確かに手掛かりにな記憶がない以上解き方を探し出す事なんて無謀な話だ。
幸い、ソルトが受けた呪いの様に身を蝕む苦痛の様な物はないらしい。
生活をする上でも不便であるのは先程百夜本人が言った物程度のものであるのだろう。