Love Eater


だからなのか、呪われた身だというのに実に呑気でマイペースであるのは。

なってしまったものは仕方ないとばかり。

寧ろ今の姿を受け入れ人生を謳歌している様にも感じるのだ。

そんな姿にソルトも同情の心なんて疼く筈もなく、それどころか軽く呆れたぐらいに息を吐いてしまった程。

本人が気に病んでもいない呪いに同情なんてする気もないが、それでも改めて思うのは。

「やっぱり魔女ってもんは厄介だな」

「ん~?フフっそう?」

「厄介だろ。当たり前に人を呪ったりできるんだぞ?しかも、特に俺達みたいな魔混じりには更に悪影響あるじゃねえか」

「悪影響?」

「あの誘惑的な甘ったるい匂い」

「ああ、リっ君の目下の悩みどころね。確かにリっ君お目当ての魔女子ちゃんは思わず涎の一つでも零しそうなくらいに美味しそうな匂い漂わせてるからねえ。…まあ、リっ君に至っては別にその匂いに惹かれての執着じゃないから悩んでるんだろうけど」

「匂いだけの問題だったら実に簡単で良いんだけどな」

「別に今だってそう難しい話でもないと思うんだけどねえ。自分の魔混じりが恐くて手を出せないってだけならさっさと魔女子ちゃんの方を人間にしちゃえばいい話でしょうが」

「っ……御尤も」

「フッ…ああ。それすらも変な情が先走ってままなってないから苦悩してるんだっけか」

「皆まで言うな」

自分の矛盾から発生している不毛なのだと敢えて言われずともソルト本人が自覚しているのだ。

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