Love Eater
だいぶ前から知り得た事実。
寧ろ、その事実を初めて聞かされた時であっても然程の衝撃は得なかったソルトなのだ。
へえ、そうなんだ。と思う程度。
世の中、魔女がいると言っても全ての女の中の一握り。
自分が厄介な血の遺伝に悩まされている事もあってか子供を残そうなんて意識も願望もなかった。
恋愛なんてものもする気はない。
それでも健全な男子の生理的な欲求は疼くもので、女性とはそれを解消できる程度に交流を持てればそれでいい。
そんな意識で居た当時の自分には魔女と自分の因縁なんて悩む種ですらなかったのだ。
魔女に惚れるなんて事になるまでは。
「あー…もう、本当に面倒癖えよぉぉぉ」
「クックッ、だからもうさっさと下手な情は捨ててスパンッと魔女子ちゃんの力消しちゃえばいいんだって」
「それが出来てたら苦労しねえよ。マジに撃ち込んでも尽くかわすお嬢さんだぜ?」
「時に、リっ君」
「なんだよ?」
「上から支給されてるロザリオは今日もうっかりな不携帯かな?」
「っ…悪かったな」
「情に深いねえ」
また遠回しに痛いとこ突いて来やがって。
そうは思えど痛いと感じるのは自分に後ろめたい事がある証拠でもあって。
だからこそ、甘んじて百夜の含み笑いに敗北の白旗を上げるしか出来ず。
それでも、せめてもの反抗でフンッと顔を横に背けてしまう。