Love Eater
魔を取り込み、扱い、それこそ人に害悪を為す者もいる。
それもまた力のない人間には対処不能の脅威であるが、一番の懸念事項は魔女が魔を孕む事も出来るという事なのだ。
魔女自身扱いきれぬ魔を孕む事も。
人を無作為に害する魔を孕む事も。
人には凡そ予想もつかぬ魔を……。
それ故に魔女の力を持って生まれた人間は危険分子とされ、【魔女狩り】なんて物が政府公認で生まれてしまったのだ。
ただ、【魔女狩り】なんて言うのは余程の事情の最終手段。
それなりに研究や技術も発展したこの時代では魔女の血を普通の人間のそれに変化させる特効薬が作られている。
大体の場合は幼少期に注射一つで危険分子なんていうレッテルを剥ぎ取るものなのだが。
中にはその機会に恵まれる事なく大人になる者もいる。
そんな対象を救済するのもまた【神父】と呼ばれる者らの仕事の一つで、見つけ次第薬を投与し魔女の力を奪うのだ。
大抵は説明一つで納得して自ら摂取してくれるものなのだが、中には拒絶、抵抗する者もいる。
そういう輩には強制執行として弾丸タイプの特効薬を投与する事を許可されているわけだけども。
それすら阻み、更にはその力で人に害を成したという輩もいる。
そういう対象にようやく初めて【狩る】と言う刑が与えられるわけだが。
この刑が執行された記録など数えるほど。
大幅の魔女の因子であった存在は善良に法に従って人間として生きているのだ。