Love Eater
何かフォローをすべきか?
いや、強制執行をすべき相手にフォローするなんておかしな話だ。
そもそも、手を焼く相手に神父の補佐が派遣されるなんてよくある話だ。
追いかける相手が変わったなんて魔女側の不満に後ろめたさを覚える方がおかしな話。
それに、こういう情が影響してるから蓮華のヘルプを受け入れたんじゃねえか。
ここで気に病んでどうする俺。
「つまりは……ソルトの同意あっての事なの?」
「っ……」
「僕を追いかけるのを人任せにした。……そういう事?」
後ろめたくなんか感じる必要ねえのに…。
「僕を追いかける事をリタイアした。…そういう解釈すればいいの?」
っ……なんで、
なんで……一回もこっちを見ねえんだよ、六花。
別に……後ろめたくねえ。
俺は神父でお前は魔女で。
神父として魔女を執行するのに最適な措置をとったにすぎねえ。
それに、寧ろお前が欲しいと望むから選んだ選択肢なんだ。
お前が魔女でさえなくなればもっと単純にこの手を伸ばせる。
もっと簡単に頭を撫でて名前を呼んでやれる。
夢現の中だけじゃなく。
直に……。
その為の一時の痛みなら、
「そうだ」
耐え抜けばいい。
そんな苦渋の決断を下したソルトの声音は澄んだ夜の空気にはっきりと通って六花に届いた。
肯定された響きに六花が静かにも深い息を吐いたのは、ソルトが捉える後ろ姿だけでもでも明確。
でも、それだけ。
その反応ばかりでこれまた淡くも期待していた激情の反応は一向に返されずに沈黙が続くのだ。