Love Eater
いくらいつも通りを取り繕うとした言葉を返しても無意味であった。
最早興味はないのだと言いたげな淡々とした返答と熱の無いただの眼差しと。
「っ……まじ……かよ?」
どんなに自分に好都合な解釈をしようと抗ってみても無駄な抵抗。
どうやっても自然と受け入れたくない答えが頭に浮上しかけて慌てて誤魔化して。
可笑しくもないのに引きつった笑みが勝手に口元に浮かんだタイミング。
「あーあ、告白する前に失恋しちゃったねえ、リッカ」
「っ……」
ソルトが必死に誤魔化していた結論を蓮華が何の躊躇いもなく、寧ろ嬉々とした感じに音にして響かせたのだ。
自分で言うよりも人に言われた一言の方がより重く逃避できないのは何故だろうか。
打たれ強い方であるソルトであっても、今のこの状況では見事蓮華の一言に打ち崩されて膝をついてしまった位にして。
「……何でだ?……あれ?どうしてこうなった?」
どこで何を間違えた?なんて、挙句の果て地面に突っ伏してぶつぶつとぼやき始めるソルトの姿には、蓮華が煙草を蒸かしながらクツクツと笑うのだ。
「一晩限りの女の子の扱いには長けてても、恋する乙女の女心はまるでわかっちゃいないねえリッカくん?」
「あっ?」
「六花ちゃんも可哀想に。これをチャンスに身も心も慰めて俺の腕の中で泣かせてあげたくなっちゃうねえ」
「っ…てめっ…」
元はと言えばお前が性質の悪い介入をしたせいだろうが!とどんなに思っても音には出来ず。
出来る筈がない。
そう分かっているのだ。
蓮華が原因の一つであろうと決定的に間違えたのは自分自身だという事は。