ヴァーミリオンの空の下
 気持ちのいい秋風は、夕日で焼けそうな頬の温度を下げてくれる。

 長い長い下り坂。

 僕の気持ちとは裏腹に自宅に近付いていく。

 真帆は、僕が誰かにイジメられていても助けてくれたし、運動会なんかでは必ず応援してくれるのだ。

 その頃から僕は考え始めていた。

 僕は身長も低くて運動も苦手、お世辞にも人付き合いがいいとも言えない。

それでも真帆は、家が目の前というだけでここまで世話を焼いてくれる。

だから僕は真帆のために何かできないかなって、ずっと思考を巡らせたものだ。

 結果として何かを生んだことなど、受験勉強の時に教師役になれたくらいだった。
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