ヴァーミリオンの空の下
 十七年の付き合いは一瞬の出来事みたいに思える。

 小さい頃は泣かされて、大きくなったら怒られてばかりだ。

 悪い気などしない。

真帆なりの気遣いだと受け止めることもできるし、何よりも彼女と一緒にいた時間が好きだったから。

 生まれてから今まで、僕にとって間違いなく大きな存在。

真帆の背中をすごく小さく感じると、なぜが寂しくなってしまう。

「泣くなよ晴海」

「な、泣いてないよ」

「そうかそうか」

 真帆はしゃべりながらも、緩やかなカーブをキレイに走り抜ける。
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