ヴァーミリオンの空の下
 もしかしたら、僕にとって何気ないそんな行動が彼女には大きなモノになっていたのかもしれない。

 真帆のためにと考えてやったこと。

 何も考えないままやったこと。

 全部が全部いい結果に結びついたわけじゃないだろうけど、真帆は受け止めてくれていたんだ。

「ありがとう」

「こっちこそ」

 そう口にした真帆の顔を、今は見ることができない。

だけど笑顔だって信じてる。

 真帆も僕も、同じだったのかもしれない。

 何気ない行動に義理を感じていた。

でもそれを返しても、相手の何気ない行動が多すぎて返しきれなくなる。

 自分でやってきたことにも気付かないままそれを繰り返してきた。

 それが続くと相手の想いに麻痺するんだ。

 気付けばそれが当然だって言えるくらい相手を大事にしていた。
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