part-time lover
歩道橋を渡り、人の多い駅前で足を止めた。
日曜日ということもあり、まだ深い時間ではないものの駅前は家へと向かう人たちで溢れている。
「じゃあ、気をつけて帰ってね」
そう言う彼女の頬は少し赤らんでいた。
電車が違うので、ここでお別れ。
「あずさもね。彼氏さんにもよろしく」
「うん、伝えとく」
学生時代から恒例の、別れ際のハグをして改札を潜る彼女を見送った。
多少酔っていてもキリッと伸びた背筋が美しい。
綺麗な後ろ姿が見えなくなったところで、私も自分の使う電車のホームへと向かった。