part-time lover
それからはいつも通り、当たり障りのない会話をした。
2ヶ月ぶりの再会かつ1ヶ月間音信不通になったのが嘘のように、穏やかな雰囲気。
コース料理は2人には量が多く、あまり手をつけないまま最後のデザートが到着した。
それに比べてアルコールの摂取量は今まで彼と飲んだ中で一番と即答できるほど、急ピッチで飲んでしまった。
会話が絶えないので、箸を進める暇がなかったと言った方が適切かもしれない。
「軽めのコースとは言ったけど結構量多かったかな。一緒に食べるのが初めてだからどのくらい食べるのかわからなくて、無理させちゃってたらごめんね」
お皿に残った料理を見ながら、申し訳なさそうに彼が呟いた。
「いやいや、とんでもないです。
むしろお腹いっぱいになりました?私に合わせて食べづらかったとしたらすみません」
食べっぷりのいい雅也くんに慣れていると、遠慮させてしまっているのではないかむしろ不安になった。
「ううん、話してると楽しくて気持ちがいっぱいだから大丈夫。
飲むお酒の量見て、遠慮してないのはわかるでしょ?」
なんの気無しに言った言葉かもしれないけど、雅也くんと対照的な話をされてハッとした。
どちらも正解だけど、大人な考え方にときめく自分がいた。
「ならよかったです。私も、改めて色々お話できて嬉しかったです」
ラストオーダーで頼んだビールは、まだグラスに半分ほど残っている。
だいぶ酔いも回ってきたことだし、聞きたいと思っていたことを投げ掛けてもいいだろう。