part-time lover
「お待たせ。遅くなってごめんね」
綺麗なピンク色のビールが届いて一口飲もうか迷っていたところで、彼が到着した。
仕事終わりの疲労が少し顔に出ている気がした。
それなのに急いで来てくれたんだろうか。
少し息が上がり、首元に汗が伝っていた。
「いえいえ。お仕事お疲れ様でした。お盆なのに大変ですね」
「ちょっと立て込んでる案件があってね。
あ、よかったら先飲んでて」
そう言いながら目の前の席に座り、息を整えながらメニューを開くとすぐさまファーストドリンクを注文した。
「大丈夫です。一緒に乾杯しましょう」
さわやかな水色の半袖シャツから、引き締まった腕が伸びている。少し日焼けしたかな。
男らしい体つきにドキッとした。
間も無くしてビールが届き、グラスをぶつけた。
一口含むと、程よい酸味にうっとりした。
目の前の彼は喉が渇いていたのか、グラスの半分近く勢いよく喉を鳴らして飲んでいる。
「食事も少し頼んじゃいました。お嫌いなものなかったですよね?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
お通しの燻製を控えめにつまみながら、いい飲みっぷりでビールを喉に流す彼の様子を見るだけで気持ちが満たされるのがわかった。