part-time lover
20時半、もう遠くから様子も伺う必要もないため、時間通り約束の場所で彼のことを待った。
急に緊張感が訪れる。
人に話してもあまり信じてもらえないけど、自分では割と人見知りをする方だと思う。
いくら体を繋げた相手でも、数時間しか時間を共にしていない人と会う前というのは自然と肩に力が入ってしまうものだ。
ぼーっと道路を眺めていると、横断歩道の中に彼らしき人を見つけた。
目を細めてみると、今日は前回とは異なり随分とフォーマルな格好をしていた。
スーツ姿だと余計に大人を感じるなーと見つめていたのに気づかれたんだろうか。
彼もこちらに気づき、軽く会釈をしてきた。
「こんばんは、急に声かけちゃってごめんね。タイミングがあってよかった」
「いえいえ、こちらこそお声がけいただけて嬉しかったです」
上目に彼を見て、にこっと笑っておいた。