part-time lover
第3話



季節は春。

社会人2年目ともなれば担当する仕事も増えてなかなかに忙しいけど、私生活に大きな変化はなかった。

ここ半年ほどは、月に一度ほどケイさんと会う機会があるので新しい相手を求めることはやめていた。

友達に誘われた合コンに参加したりもしたけど、結局酔ったらその場が楽しければあとはどうでもよくなって一晩だけの関係をもつことが何度かあったくらい。

ケイさんにいつしか言われたように、社会人になってから1年ちょっとで去年の自分が見たら驚くくらい色々と達観した大人になってしまった気がする。


4月初旬の金曜日。歓迎会へ向かう浮かれた人たちの声を聞き流しながら仕事帰りに買い物をしていたときのことだった。

ケータイが震えたので画面を開いた。

『今週もお疲れ様。仕事の方は忙しい?この後ちょっといつもよりも遅めの時間でもよければ飲みに行きませんか』

ベストタイミングすぎて、私のことでも見ているのかと驚いた。

二つ返事するのも少し悔しい気がするけど、あいにく暇を持て余していたのですぐに返事をした。

『お疲れ様です。仕事の方も慣れないことだらけですが頑張ってますよ〜。仕事終わりで特に予定もなくて買い物中でした。場所と時間は合わせられます』

去年の今頃の自分を思い出して、新社会人モードに気分を切り替えた。

『よかった。そしたらまた渋谷でもいいかな。21時半には着けると思う』

予定まで1時間。

特に目ぼしいものもなかったので渋谷まで移動して先に一杯入れて彼を待つことにしよう。

足を止めてUターンし、駅の方へと向かった。

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