part-time lover
「あ、あずささんですか?」
さりげなく顔を覗き込むと相手も自分のことを認識したらしい。
「はい、ケイさんですよね。よろしくお願いします」
本名とは全く違う名前をよばれる事に違和感はなくなっていた。
「よろしく。コンビニでお酒買って、飲みながらゆっくり話そううか」
その言葉に頷くと、彼は少し周りの目を気にしているのかそそくさと店内に入り、缶ビール数本をカゴへと勢い良く入れていった。
ビールはサッポロ派なのか。
彼の選んだ商品のラインナップを確認して、少し好感度が上がる。
「あずさちゃんはお酒飲める?」
「はい。ケイさんはビールがお好きなんですね。私もビール党なので、同じのをいただいてもいいですか」
「飲めるだけどうぞ」
少し遠慮して小さい缶を2本カゴの中に入れた。
コンビニを出て小道に入り、適当なホテルを見繕い中に入る。
空室は残り一部屋。
自分の立場はおいておいて、ど平日の夜なのにこんなに多くの人がセックスをする場所を求めているのかと思うと人間て単純だなと思う。
間隔を少しあけて彼の後ろをついて歩き、部屋に入ったところで半分安堵して半分緊張した。