part-time lover
改めて目の前に座って彼と視線を合わせたら、相手からどう見られているかを露骨に気にしている自分に気づいた。
好感度を上げる必要なんて全くないくらい、相手に期待なんてしてないのに。
紹介という名目で会っている以上嫌な印象を与えたくないと思うのが人間の性らしい。
メニューを広げてひとまず迷ったふりをする。
「お酒は飲める方ですか?」
「はい、好きです」
「ワインも飲める?」
「はい、特に赤が好きかな」
「あ、同じだ。そしたらボトル頼んじゃいましょうか。料理も適当でいい?」
「大丈夫です」
彼にお任せして頼んだワインで乾杯をして、典型的な質問でまともな会話がやっと始まった。