part-time lover
山手線に揺られながら、ほんの数時間の出来事を思い出してみる。
会話のひとつひとつや、彼の笑い声とか、綺麗な瞳とか、そんな些細なことに表情が緩んでしまう。
今まであまりまともに恋愛なんてしようと思ってなかったけど、私にも恋に至るかわからないやりとりが純粋に楽しいと思うくらいの余地はあったことに驚いた。
彼にときめいているのか、新鮮な環境に興奮してるのかはわからないけど、どちらでもいいや。
私の勘だときっと次会うタイミングはそう遠くないだろう。
そんなことを思いながら家のドアを開けたタイミングでケータイが震えた。
ポップアップを見ると、彼の名前。
『今日はありがとう!楽しかった!
例のビールのお店に行く約束、来週の平日で透子ちゃんの都合のいい日にでもよければどうかな?
こちらは仕事落ち着いてるから何曜日でも大丈夫』
ほらねと内心つぶやいて思わずにやけた。
すぐ返したいところだけど、はやる気持ちを抑えてシャワーを浴びながら返信のメッセージを考えることにした。