part-time lover
「いい飲みっぷり。
食事も頼もうか」
お酒のお供は悩むけど、海外のビールにはジャンクフードが間違いないだろうとフィッシュアンドチップスを頼んだ。
油の香りと衣の歯触りがビールにぴったり。
「ハイカロリーのものってなんでこんなに美味しいんだろうね」
指についた油を舐めながら彼が永遠の不思議を口にした。
ほんとに、体に悪いと分かってるものほど美味しいから困ってしまう。
「たまにしか食べられないってわかってるから余計美味しいよね」
「透子ちゃん普段我慢してるんだ、えらいね〜。
一人暮らししてから食生活荒んでるから見習わないと…」
言葉とは反対に勢いよくビールを飲む彼を見て思わず吹いてしまった。
「早速矛盾してるし。
お酒に関しては我慢が効かないとこもあるけど、ジャンクフードはある程度食べないようにしてるよ。
体型に響くのも困るし」
雅也くんは食べても太らない体質なんだろうな。
この手の男性にはいつも羨望の眼差しをむけてしまう。
「気にしなくても全然細いじゃん。
運動してるから気にせず好き勝手飲んだり食べたりしてるけど、さすがにこれをずっと続けてたらやばいんだろうなと思うよ。実際顔とかむくむようになったし」
しゅっとしたフェイスラインを見て、以前はどれだけシャープだったんだと内心突っ込んだ。
「全然わかんないから。スポーツって何やってるの?」
「スポーツっていうか、ダンスやってて。
高校生のときから趣味程度なんだけどね」
そういえば前回話した時は趣味の話はろくにしなかったっけ。
スポーツは全くしてこなかったけど、音楽は好きでダンスをやってる友達はそこそこいたのでそれなりに深掘りできそうだ。