part-time lover
「ダンスかー、かっこいいね!
好きな音楽に合わせて踊れるの羨ましいなー。
何ダンス?」
「ほんとに趣味程度なんだけどね。
ハウスダンスって言ってイメージ湧くかな?」
クラブミュージックの中でもハウスは特に好きなジャンルだ。
自分は踊れないけど、よく行くクラブのイベントでダンスをしてる人を思い出せばどんな踊りなのか想像は容易かった。
軽やかなステップで踊る彼を見てみたいなと好奇心が湧いた。
「わかるわかる!ダンスはやらないんだけど、音楽はよく聴くしクラブに行ったりもするから。
ハウスは私も好き」
「まじで!クラブっていうとどのあたりに行くの?俺もダンス仲間と時々遊びに行くけど、やっぱり爆音で音楽聴くの気持ちいいよね」
音楽を目的に遊びに行くクラブの名前を数カ所あげると、露骨に彼のテンションが上がった。
「小箱から大箱まで音がいいとこ攻めるね〜」
「ほんとに観たいDJが来る時は一人でも行っちゃうくらい音楽好きなんだよね」
「えー!女の子でそれはすごいね!
何か楽器とかやってたの?」
「いやいや、聴く専門だよー。昔から夏フェスに行ったりとかはしてたんだけど、その延長でクラブに行くようになったらハマっちゃって」
ろくな趣味はないけど、音楽の聴く幅が広い自信はあった。
「そうなんだね。
じゃあ今度一緒にクラブ遊びに行こうよ。
ダンス教えてあげる」
「ほんとに!嬉しい。ぜひ行きたいなー。DJのパフォーマンスもそうなんだけど、ダンスしてる人見るのも好きなんだよね」
さらっと深夜のイベントにお誘いされたことに気づいたのは、ノリノリで返事をしたあとだった。
何もいやらしさを出さずにできてしまう彼の爽やかさにもはや感動の域だった。