part-time lover
「酔いは少し落ち着いた?だいぶ真っ直ぐ歩けるようになった気がしたけど」
「おかげさまで。楽しく飲んでると気づいたら酔いが回っててだめだね」
「いや、安心して飲んでくれるのも、酔っ払ってくれるのも可愛いなって思うよ」
所々でときめきが隠せなくて困ってしまう。
「照れるからやめてって」
「俺も酔ってるから許して」
「全然余裕そうで悔しいんですけど」
お互いに自然と視線が合うと、ふふっと思わず微笑んだ。
こういうやりとりも同年代ならではというかんじがして、今この瞬間を楽しんでいる自分がいることに気がつく。
「こんなこと言うのも酔ってるせいと思って欲しいんだけど、透子ちゃんてもっとクールで大人っぽい子なのかと思ってた。
ただ好きなことの話するときはめちゃくちゃ楽しそうに話すし、すごく無邪気な一面もあるんだな〜と思って。
そのギャップ好きだな」
ストレートな言葉に思わず顔が熱くなる。
畳み掛けるようにそんなこと言う所がずるいと思いつつ、必死に内心を悟られないように無難な言葉を脳内で検索した。
「ありがとう。こんな風に楽しく話せるのは雅也くんが聞き上手だからじゃないかな。
私人見知りだから、普段なかなか自分のことベラベラ話したりしないよ」
「わー、それ何よりの褒め言葉。嬉しい」
目を細めて嬉しそうに彼がはにかむ。
私と違って思ったことがすぐ口に出せるのは彼の魅力だなと改めて感じた。
火照りに拍車がかかるのはわかっていたけど、冷たくて爽やかな桃のカクテルを一口含んだ。
「透子ちゃん、また誘ったら一緒にデートしてくれる?」
「この流れで断られないの分かってて言ってるでしょ」
「いやいや、断られたら悲しいなって思いつつ言ってるよ。けど断られなくてよかった」
安堵を含んだ微笑みなのか、酔いが回ってる証拠なのか、いつもよりも細くなった彼の目が綺麗だと思った。