part-time lover


下着をつけるか迷ったけど、脱がすのも面倒かと思いバスタオルを巻いただけの格好で彼の元へもどった。

「おかえり」

暗くなった部屋のベッドの中から低い声が聞こえた。

声の元へとゆっくり向かい、控えめにベッドの中に潜り込む。

そこから言葉のない会話が始まった。

キスは優しく、そこから深く、柔らかな唇と熱い彼の体温が妙に心地よい。

体の隅々を唇と指で探りながら私の好きな場所を見つけると意地悪にそこに熱い息をかける。

おじさんのねっとりとしたセックスというよりは、大人の遊びをしているような感覚に陥った。

ひとしきりこちらの気分が高ぶったので、私も同様に彼の要望を体を使って探し求める。

いいところにたどり着くと、強引に私の髪をかき乱しながらさらにそれを求めてくる。

お互いの気分が同じ温度まで上がったところで、彼は優しく私の体の中に身を沈めた。

上から見下ろす視線と荒れた呼吸が余計に私の思考を停止させる。

「出すね」

スローペースから徐々にスピードを上げて、自分のものとは思えない甘い声を漏らしたタイミングで耳元で彼がそう囁いた。
その直後、彼の体が小刻みに震える。

ついさっき知り合った人だけど、自分に体を重ねる彼の情けない姿がなんだか可愛く思えて、無意識に柔らかな黒髪を撫でてしまった。

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