part-time lover
第6話


昨日は家についてから1日の出来事を思い出してにやけつつ、今日のデートで着るものをあれこれ考えていたらうまく眠りにつけず、結局寝不足で朝を迎えることになってしまった。

自分ってこんなにわかりやすい人だったかな…と、年に似合わず緊張していることに少し悲しくなる。

カーテンを開けると外はどんよりした天気。
昨日まであんなに晴れてたのになぁ。

テンションが下がるのを感じながら、眠い目を擦って目覚ましにコーヒーを啜っているとケータイが震えた。

ポップアップには雅也くんの名前。

『おはよう!生憎の雨だねー。
中華街で美味しいもの食べたら、ライブ鑑賞でもどう?』

添付されていたURLをクリックすると、赤レンガ倉庫のライブレストランのスケジュールが表示された。
今日の公演はクラブジャズのアーティストらしい。
私も有名な曲は何曲か聴いたことがある。
そういえば久しく生音でジャズなんて聴いてないな。

彼のナイスな提案に二つ返事で賛成した。

『おはよう!
それ最高、ぜひ行きたいな』

『よかった!そしたらチケットとっちゃうね!
予定通り、元町中華街に12時でよろしく。
楽しみにしてるね〜』

返事をしてから間も無く彼のメッセージが届いた。

「さすがスマート」

私の趣味にあわせて雨でも楽しめる趣味を提案してくれるのが嬉しくて、思わず独り言が溢れた。
さっきまでの眠気もどっかに行ってしまうんだから、自分の単純さは認めざるを得ないみたいだ。

可愛らしいスタンプを送り返して、この後聴きに行くアーティストの曲を流しながら身支度に取り掛かった。

軽快なドラムのフィルと安定感のあるベースライン、粒の細かいピアノの旋律が心地よい。

予定までは後2時間。ゆっくり支度をしても十分間に合うだろう。

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