稲荷と神の縁結び
さすがにぶっ叩くわけにはいかないし、洋ちゃんはやく戻ってきてく……


「何してる？」

ふと後ろから、誰かが腕を引き剥がした。
振り向いた先に居たのは……


「清貴さん………？」

ぼんやりとした炎のなかでも、はっきりとわかる。毎日みているこの顔は。

「おめーはなんなんだよう！！」

次は清貴さんに詰め寄ったかと思うと‐清貴さんは、胸ぐらを掴み返した。


「こはる、誰か呼んでこい！」

私に向かって叫ぶ清貴さん。私はゴクリと唾を飲み込むと、猛ダッシュで拝殿の方向に。


「おとうさっ……釜谷さん！」

遠くにうちのお父さんと商工会のメンバーが雑談しているのが見えた。洋ちゃんも捕まっているよう。
みんな一斉に私に視線を向けたかと思えば‐さっきの方向を指差すと、釜谷のおじさんは血相を変えて走って行った。


必死に怒鳴るおじさんの声を聞きながら、はぁ…はぁ……とその場で息を切らして呼吸を落ち着ける。これで清貴さんは大丈夫だろうか……。
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