稲荷と神の縁結び
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私は今、家の前で立ち尽くしている。
(…………これは……現実か?)
普段は人気のない夜の神社に、無数の野次馬や溢れる消防士の人。
規制のロープが貼られた向こうには………見るも無惨な姿になった、焼け焦げた鳥居。
そう、あの立派だった大鳥居。うちのシンボルとも言える、あの鳥居だ。
どういうわけか………真っ黒に焼け焦げてしまっているのだ。
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時刻は午後九時を指している
「こはる、いちか」
来客全員が帰ると、私とちかが呼ばれた。
帰ってきて家のドアを開けると、真っ先に目にしたのは泣き叫ぶ甥っ子と姪っ子。
結局ちかと二人で面倒を見ることになってしまい、ようやくさっき寝たところだ。
居間に行くと、両親と圭ちゃん、夕湖ちゃんが神妙な顔を付き合わせている。
目の前には、書類の束だ。
私達が着席しても…何から話していいのかわからないらしく、みんな視線だけが泳いでいる。
「とりあえず……あの鳥居は何なの?」
そもそも、あの鳥居がなぜああなったのかすら私はわからない。
ちかも「起きたらすごい騒ぎだった」らしく、詳細は知らないらしい。
「こはるが帰った後な……落ちたんだ」
「落ちた?!」
「雷が」
お父さんの答えに…頭がクラクラとなる。
雷が、落ちた……だと?