稲荷と神の縁結び
ふと付いてるテレビから‐ここの映像が流れ始めた。
『神社に雷が直撃』という見出しと共に、あの鳥居の様子が映し出されている。



「幸いにも強い雨だったから、言うほど燃え広がらなかったのが本当に不幸中の幸い。
とは言え、取り壊しは必須」
はぁっとため息をつきながら、圭ちゃんは呟いた。


「今までそんな雷が落ちたなんて話あったっけ?」

「うーん……そんな文献は無かったと思うけど。恐らくだけど、避雷針になったんじゃない?御神体の」

なるほど…。さすが圭ちゃん、解りやすい解析だ。


「でも…まぁ、この避雷針は『最終手段』だったんじゃないかなぁ……。
例えば……最近本殿の掃除サボり気味とか、お賽銭をこっそりすくねて酒飲みに行ってたとか………」


そう言うと、圭ちゃんの視線が‐お父さんに飛んで行く。
お前か………クソ親父。


「そもそも、前の建て替えもじいさんが揉めて…柱が一回り小さくなったじゃん。それも駄目だったのかもね」

いや、そんなの初めて知ったし…。ってお父さんもお母さんも、口には出してないけど『何で知ってんの?!』という顔をしている。

まぁ、圭ちゃんはお見通し…なのか。
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