稲荷と神の縁結び
何かこの人は本気になれば、君主どころか…我が国の総理大臣クラスの人になれたんじゃないかとさえ思ってしまう。こんな小さい神社の神主に収まるのは勿体無い気が。


「とりあえず明日、大工さん達と打ち合わせて解体の日程決めるから。
あとマスコミも取材依頼殺到してて…ってこは、休みはいつまで?」

「明日まで……だけど、休もうと思えば明後日も大丈夫かな……?」

「じゃぁ悪いけど、明日は居てくれる?子供らの面倒頼みたい」

「あぁ、うんわかった」


私は即座に携帯を取り出した。
着信を見ると、地元の同級生の着信に紛れて‐清貴さんから山ほどきていた。


あのまま飛び出してきて、連絡することをすっかり忘れていた。
おそらくニュースにここが出ていたので、騒ぎは知っているんではないかと思われる。


私は『今日は帰りません』とだけメッセージを打って携帯をしまう。
今は何も考えられない。


……と言うか、考える間もなく子供ら三人全員が泣き出してしまった。
結局、私と夕湖ちゃんとちかの三人はひたすら夜中まで子守りに徹して、気力は全て使い果たしてしまった。
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