稲荷と神の縁結び
(これって……)


不意に資料に目をやると‐見出しが『見積書』であることがわかった。
次の行が『解体費用』になっているってことは……。


「さっきな、いつもの宮大工の親方さんが来てくれたんだ」

圭ちゃんが白米をかき込みながら言った。


「見ていいよ。とりあえず……来週には撤去作業に入りたいけど、そんだけかかる」



私は資料を手にして、書かれてある数字を数える。
いち、じゅう、ひゃく、せん………


「に、二百万………」


驚き力が抜けて‐資料を畳にぶちまけてしまう。あわてて四方八方に散らばる資料をかき集めた所で、ようやく頭が冷えた。


解体費だけで二百万。


費用がすごくかかるのはわかっていたが…まさか撤去だけでそこまでかかるとは……。


「まぁ火災保険でカバーはできるけど…降
りるまで時間かかるんだよなぁ……。
第一全焼じゃないから、全額降りるかはわからない。どっちにしろ、前のより柱大きくするなら料金は嵩む」
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