稲荷と神の縁結び
食べながら、淡々と説明する圭ちゃん。
私は黙って聞いていたが「食べな」とせかされたので、私も手を合わせて朝食を食べ始めた。

「とりあえず、神輿の修繕も先送りして……色々かき集めりゃ何とかなる金額ではあるけど……うちの子らの学資保険は解約しないといけないかもなぁ……」

「柱大きくするのは決定事項?」

「決定事項…ってか『戻す』んだよ。こは覚えてない?」

「うーん………記憶辿っても…修繕中のシートがかかってるのしか記憶にないんだよね………」

「まぁ、こはは幼稚園?小一?覚えてないのも無理ないか」


そのまま最後のお味噌汁をすすり、圭ちゃんは「ごちそうさま」と手を合わせる。

「悪いけど、今日は氏子の人らもポツポツ来るらしいし、こはにも色々頼むと思う」

「それは大丈夫。けど圭ちゃんも休める時に休んでて」

昨日から圭ちゃんは殆ど寝てないのでは?と思うぐらいずっと起きている。
「うん」と言っているが…心がこもっていない空返事。当分休む気は無さそうだ。
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